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2013/04/24

自治体9割「一般競争拡大の考えない」 建設経済レポート

 2006年度を境に地方自治体に急速に広がった一般競争入札拡大の動きが止まりつつある実態が、建設経済研究所がまとめた建設経済レポートで明らかになった。同研究所が行ったアンケート調査で約9割の団体が「一般競争入札を拡大する考えはない」と回答。「公告作成などの事務負担の増加」や「ダンピングの増加傾向が強まる」など、デメリットを指摘する声が上がっている。
 アンケート調査は、都道府県、政令指定都市、中核市、県庁所在市の合計120団体を対象に昨年12月に実施した。
 一般競争入札は、06年の3県知事の逮捕を受け、全国知事会が「1000万円以上は原則一般競争入札」とした提言をまとめた後、談合の抑止などを理由に都道府県を中心に急速に適用範囲を拡大した。
 アンケートに回答した自治体では、制度として全ての団体が一般競争入札を導入しており、全工事に対する一般競争入札の導入比率(11年度時点)は▽都道府県48・8%▽政令指定都市70・5%▽中核市49・5%▽県庁所在市37・6%―となっている。
 全自治体の発注工事における導入比率は51・8%と半数を超え、一般競争入札は指名競争入札と並ぶ入札方式として定着しているが、ここ3年間で適用範囲を拡大した都道府県は毎年1〜2団体にとどまっている。アンケート調査でも、拡大する意思はないと答えた自治体が89・7%に上った。
 一般競争入札の導入に伴うデメリットを尋ねる設問では「公告作成などの事務負担増加」とする自治体が65団体と最多で、「ダンピング傾向が強まる」の35団体、「不良不適格業者の参入」の34団体などが続いた。
 個別回答では「入札参加の条件を定めることに苦慮している」「指名競争入札に比べて契約までの時間が長期間必要になり、早期発注に支障が生じる」「入札参加者数が少なく競争性に欠ける案件などが発生した」との指摘が挙がった。
 同研究所では、応札側の建設業協会会員企業にもヒアリングを実施。指名競争入札から一般競争入札への移行に伴う変化について「発注者が工事の件数、業者数を見ながら地域要件と実績要件など細かく条件を決めている」「これまで指名のためにボランティアなどで協力していたが、一般競争入札ではその必要がなく書類が整えば応札できる」「指名競争入札より書類が多過ぎ、一度提出したものを再度提出させられる」などと指摘している。
 同研究所は、レポートの中で、手続き期間の短縮や提出書類の簡素化、総合評価方式の併用を進めるとともに、一般競争入札の趣旨を損なう過度な条件設定は見直す必要があると提言。その上で「工事の規模・種類、地域建設業の状況を勘案し、指名競争入札が望ましい場合は積極的に指名競争入札を活用すべき」と求めている。

提供:建通新聞社