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2013/04/23

アスベスト除去、市場規模は8・2兆円 環境省が推計

 アスベスト除去ビジネスの市場規模は8兆2000億円―。環境省が国土交通省のデータなどを基に行った推計で、アスベストの除去を今後50年間にわたって進めていくとすると、年間1640億円の市場規模が見込まれることが分かった。環境省は、アスベスト粉じんの一般大気中への飛散防止対策の強化を目的とした大気汚染防止法改正法案を今国会に提出し、会期中の成立を目指しているが、アスベスト専門家などは「ストックは膨大。除去工事の安全を確保するための仕組みづくりが急務」と指摘している。
 環境省は、今回の推計に当たって、国土交通省の社会資本整備審議会アスベスト対策部会が調査検討のベースとして使用した同省の推計結果を用いた。
 まず、鉄骨構造の大規模建築物(延床面積1000平方b以上)は、耐火被覆材として石綿含有吹付け材が使われていると推測。その上で、国交省が▽吹付け石綿の使用が開始された1956年から、業界の自主規制によって石綿含有吹きつけロックウール(湿式)の使用が中止された1989の間に建設された鉄骨造・鉄筋コンクリート造の大規模建築物は約27万棟とみている。
 このうち▽耐火被覆を要する鉄骨構造建造物の割合は6〜8%▽1棟当たりの平均床面積は1万平方b▽床面積に対する耐火被覆材の使用面積の割合は80〜200%と推定される―などから、除去対象床面積を3億平方bと仮定。これにアスベストの除去が完了していない建物の割合70%を乗じた2億1000平方bを除去対象面積とした。
 一方、1000平方b未満の中小規模の建造物に対して用いられたアスベストについては、主に石綿含有ロックウール(乾式)が使用されていたとみなし、その使用が中止された1980年までに建設された鉄骨造・鉄筋コンクリート造など77万棟を対象として抽出した。
 このうち▽耐火被覆を要する鉄骨構造建造物の割合は10〜15%▽1棟当たりの平均床面積は1000平方b▽床面積に対する耐火被覆材使用面積の割合は80〜200%として計算。得られた上限値と下限値の平均値1億4630万平方bに、アスベストの除去が完了していない建物の割合70%を乗じた約1億平方bを除去対象面積と推定した。
 その上で、それぞれの推定面積に建築業協会(BCS)が2007年に行ったアスベスト除去費用調査(大規模建築物1平方b当たり2万円、中小規模建築物4万円)の結果を乗じ、大規模建築物4兆2000億円、中規模建築物4兆円、合計8兆2000億円をアスベスト除去の市場規模と推計した。
 今後、除去を50年間にわたって進めていくとすると、市場規模は1年当たり1640億円ということになる。

提供:建通新聞社