政府の産業競争力会議が17日に開かれ、国土交通省は道路分野などでコンセッション方式の活用を拡大する方針を報告した。同方式を活用するプロジェクトとして、首都高速道路の老朽化対策、地方道路公社が管理する有料道路の民営化などを挙げている。会議ではこのほか、既存の特区制度を検証した上で規制緩和や税制優遇のレベルを上げた「国家戦略特区(仮称)」を創設し、5月中に制度の中身を固めることを決めた。
太田昭宏国交相は17日の会議で、今後の施策の方向性として、日本の国際競争力の強化に向けて、ビジネスや生活の基盤となる環境整備に民間資金を活用することを提案。
具体的には、道路分野にコンセッション方式などの手法で民間資金を呼び込む方針を提示。具体的には、首都高の老朽化対策に民間資金を導入する構想を明らかにし、モデルケースとして、都心環状線の築地区間で民間都市開発と一体となった老朽化対策を進めるとした。愛知県が提案する同県道路公社の有料道路へのコンセッション方式の活用に関しては、5月中に結論を出すとしている。
国交省ではこのほか、日本の国際競争力を強化するため、羽田空港と成田空港を結ぶ新線の「都心直結線」の整備にPFI手法の導入を検討すると報告した。
一方、既存の特区制度を見直して創設する国家戦略特区については、特区ごとに閣僚や地方自治体首長、民間事業者らが参加した「統合推進本部」を設置して、規制緩和や税制措置の中身を検討する。近くワーキンググループを立ち上げて現在の特区制度を検証し、
5月中に制度の枠組みを決める。
17日の会合では、民間議員の竹中平蔵慶應義塾大学教授が立地競争力の強化に向けた提案も行った。竹中教授はこの中で「官業の民間開放」を行う重要性を指摘。上下水道、空港、有料道路、公営地下鉄など、利用料金を伴うインフラをコンセッション方式で民間開放すれば、数十兆円規模の財源創出が図れるとした。
また、国内の官業を民間開放して建設業などがインフラ運営の経験を積めば、海外インフラ市場への進出が容易になるとそのメリットを訴えた。
提供:建通新聞社