地盤工学会(末岡徹会長)など7団体で構成する地盤品質判定士協議会(事務局、地盤工学会)は、「地盤品質判定士」資格制度を創設する。初の検定試験は9月22日に東京と大阪の2会場で実施する(実施要領は4月下旬発表予定)。判定士が宅地造成者や不動産業者、住宅メーカーと、住宅・宅地取得者(エンドユーザー)の間に立って地盤の評価(品質判定)に関わる調査や試験の方法を立案する。調査結果に基づく評価と対策工の提案を行うことで、宅地における地盤災害の防止、軽減につなげる。
検定試験は、毎年9月に実施し、受験者の地盤の品質に関わる網羅的な知識や技術の有無を確認する。受験資格者には既存の有資格者の他に、協議会が設定する経験・学歴条件をクリアした者も加える。当面、1年間に150人〜250人(合格率15%〜40%)程度の合格者を輩出し、将来的には「公的な業務独占資格」とすることを目指す。
個人の住宅や宅地の品質判定や、対策工を提案するための仕組み、判定士のインセンティブの付与の在り方については、協議会で詳細を検討中だが、「住宅の品質確認等促進法(性能表示)」「宅地建物取引業法(重要事項説明)」などにおける位置付けの明確化を実現したいと考えている。
地盤工学会は、2011年に「地震時における地盤災害の被害と対策―東日本大震災の教訓と提言―」をまとめ、この中で、地盤の液状化や盛土・擁壁の崩壊など個人住宅や宅地の甚大な被害状況を報告。巨大地震の発生に備えるためにも「住宅・宅地を保全するための仕組みが必要」などとして「地盤品質判定士」資格制度の創設を提案していた。
地盤工学会と地盤品質判定士協議会を構成している団体は次の通り。
▽全国地質調査業協会連合会▽日本建築学会▽土木学会▽NPO住宅地盤品質協会▽地盤保証検査協会▽建設コンサルタンツ協会▽日本住宅建設産業協会(オブザーバー)
提供:建通新聞社