国土交通省は、15日に開いた社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会に、エレベーター保守・点検業務標準契約書案を報告した。標準契約書は、策定を進めている昇降機の維持管理指針を踏まえ、建物所有者と保守管理業者の間で、点検項目・頻度、業務担当者の条件、作業報告と説明義務などを明示した適正な契約を促すもの。
エレベーター・保守点検業務標準契約書は、専門知識に乏しいマンション管理組合などの建物所有者と保守点検業者が結ぶ保守点検業務の契約が適正・公正な内容となるよう、国交省が策定を進めている。
同省では、東京都港区で発生したエレベーターによる死亡事故を受け「昇降機の適切な維持管理に関する指針」の策定を進めている。指針案では、適正な保守点検を実施するため、所有者が必要な技術情報・技術力を持つ保守点検業者を選定し、昇降機の適切な維持管理を行うよう求める内容。
標準契約書には、この指針案を踏まえ、適切な保守点検を行うために必要な事項を盛り込んでいる。具体的には▽点検項目・頻度や修理・交換の範囲を契約上明確にする▽実績・実務経験など現地で業務を行う業務担当者の条件を定める▽文書による作業報告・説明義務を定める―としている。6月に指針案と合わせて公表する予定。
15日の部会にはこのほか、建築物の天井脱落防止を図る建築基準法の改正政省令・告示案についても報告。中規模地震(震度5強程度)で天井が損傷しないよう「6b超の高さにある面積200平方b超の吊り天井」を有する新築建築物について、天井と壁の間に6a以上の隙間を設けたり、天井の単位面積質量を1平方b当たり20`以下にするなどの対策を講じるよう義務付ける。
改正政省令・告示は、5月に公布、2014年4月に施行する予定。
提供:建通新聞社