自民党の公共工事契約適正化委員会(野田毅委員長)が10日に開かれ、地方自治体の入札契約制度に関するヒアリングが行われた。新潟県の渡邊廣吉聖籠町長は「予定価格は事前・事後ともに公表していない」と同町の入札契約制度について説明。過去3年の落札率は95・6%と高い水準で推移しており「地域経済への影響が大きい公共工事の適切な発注が必要だ」と述べた。事務局長の脇雅史参院国対委員長は、ここまでのヒアリングで示された公共調達の課題への対応について「次回の会合までにたたき台を示してもらいたい」と国土交通省などに指示した。
10日のヒアリングには、大分県、長崎県佐世保市、聖籠町の3団体がそれぞれの入札契約制度や建設業を取り巻く現状を報告。大分県では2000年から段階的に一般競争入札の対象を拡大してきたが、08年以降は「業界の厳しい経営環境に配慮し、4000万円以上のまま拡大を見送っている」(小風茂副知事)とした。
低入札価格調査制度は予定価格1億円以上の工事に適用しており、調査の対象工事では「現場管理費と一般管理費を縮減し、失格基準付近での落札が目立つ」としている。
一方、佐世保市では、03年度に最低制限価格を事前公表した影響で落札率が低下したため、08年度に予定価格・最低制限価格のいずれでも事前公表を廃止。その後は落札率90%台で推移しているという。
予定価格を事前・事後のいずれでも公表していない聖籠町の渡邊町長は「(地域建設企業は)自然災害や除雪などに重要な役割を果たしている」と述べた上で「人口1万4000人強の小さな町にとっても、土木・建築関係業者による雇用確保は大きな比重を占める」と地域建設業の重要性を強調。今後の方針として「水道管の更新工事を計画的に発注するなど、公平な受注機会の確保を図りたい」などと述べた。
同委員会では、10日の自治体からのヒアリングに先立ち、建設業団体からもヒアリングを行っている。事務局長の脇氏は公共調達新法の制定に向けたたたき台を5月の大型連休前に開く次回会合に提示するよう指示。国交省の佐々木基土地・建設産業局長は「関係する財務省、総務省と協議する」と答えた。
提供:建通新聞社