国土交通省は、2013年度の公共工事設計労務単価が全国全職種の加重平均で前年度から16・1%上昇したことを受け、4月1日以降に契約した直轄工事に対する特例措置を設ける。3月中に旧単価で積算して入札手続きを行って4月1日以降に契約した工事を対象に、受注者からの申請に応じて発注者が新単価で予定価格を改めて積算し、入札時の落札率を乗じた金額で契約変更する。国交省では、年間契約を結ぶ維持工事などを中心に対象工事が600件程度に上ると見込んでいる。
13年度の労務単価は、恒常的な労働需給の逼迫(ひっぱく)状況に配慮して実勢価格が反映されたことや、法定福利費相当額(本人負担額)が上乗せされたことで、全国全職種の加重平均で16・1%増の1万5175円(単純平均1万8996円、15・1%増)へと大きく増額された。
労務単価は、従来から4月1日以降の契約に適用することになっているが、これまでは単価が急激に上下することはなく、契約変更などに至るケースはみられなかった。ただ国交省は、13年度の労務単価が大幅に上昇した影響で、旧単価と新単価との差額が大きくなり、運用上の特例を設けて契約変更を促す必要があると判断。こうした趣旨の通達を8日付で各地方整備局と北海道開発局に送付した。
対象となる工事は、4月1日以降に契約する工事のうち、旧単価を適用して予定価格を積算したもの。3月中に入札を行っていても、契約が4月1日以降になったものは対象となる。
発注者は、契約後に受注者から請負代金額の変更協議を請求された場合、新単価で改めて予定価格を積算し、入札時の落札率を乗じた金額に契約変更する。請求期限は設けていないが、早目の請求を呼び掛けている。
国交省によると、新単価を適用して積算した予定価格は、旧単価の予定価格と比べて5%程度上昇するという。今回の特例措置を適用すると、例えば旧単価で積算した予定価格1億円の工事を9000万円で落札したケースでは、新単価で積算した予定価格1億0500万円に0・9を乗じた9450万円に契約変更することになる。
提供:建通新聞社