消防庁は、改正消防法施行令を2015年4月1日から施行する。軽費老人ホームなど「避難が困難な要介護者を主として入居・宿泊させている」小規模な老人福祉施設にも消防用設備の設置を義務付ける。改正に伴う施設設置者の経済的負担を考慮し、スプリンクラーや自動火災報知設備などの新たな消防用設備の設置については、2018年3月31日まで経過措置を設ける。
消防法施行令は、災害時に援護が必要となる介護保険施設や老人福祉施設の施設類型をグループ化し、それぞれの施設類型とその規模ごとに、設置を義務付ける消防用設備を規定している。
従来、軽費老人ホーム、老人デイサービスセンター、小規模多機能型居宅介護事業を行う施設については、消防用設備の設置義務が施設の延床面積によって規定する「第6項ハ」としてきた。しかし、これら三つの施設類型については要介護度の高い高齢者に利用される傾向があり、宿泊サービスの提供を常態化しているものもあることから、避難が困難な者が利用する施設については「第6項ロ」に規定。スプリンクラーの設置以外は規模要件を設けず、例外なしに自動火災報知設備をはじめとした消防用設備の設置を義務付ける。
老人デイサービスセンターなどのように「第6項ロ」なのか「同ハ」なのか、分かりにくいケースについては、消防庁が判断基準となる「主として入居・宿泊させる」要介護者の定義を示す予定だ。
今回の施行令改正に伴う施設設置者の経済的負担を考慮した経過措置については、新たに消火器具や漏電火災警報器、誘導灯を設置する必要がある場合は14年3月31日まで猶予。新たに屋内消化栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、非常警報設備と避難器具を設置する必要がある場合は、18年3月31日まで経過措置期間とする。
13年2月8日、火災を起こし、4人の入所者が死亡した長崎市の認知症高齢者グループホームは、延床面積が275平方b以下であったため現行の消防法施行令による設置義務の対象とはされておらず、スプリンクラー設備は設置されていなかった。
提供:建通新聞社