国土交通省は29日、建設業団体と公共・民間工事の発注者に対し、2013年度の公共工事設計労務単価が大幅に引き上げられたことを踏まえ、技能労働者の賃金を適切な水準に確保するよう要請した。労務単価に法定福利費の本人負担分が上乗せされたことから、社会保険などへの加入を徹底するよう求めている。
こうした趣旨の要請を29日付で土地・建設産業局長名で通知。太田昭宏国交相も同日の閣僚懇談会で、ダンピング受注の排除や入札契約の適正化への協力を関係府省に求めた。
通知は、労働需給の逼迫(ひっぱく)状況が東日本大震災の影響による一時的なものではなく、産業の構造的な問題であるとし、建設労働者に対する適切な賃金の支払いが建設産業全体の喫緊の課題との認識を示している。
建設業団体に対する通知では、13年度の労務単価の上昇を技能労働者の処遇改善につなげるには、建設業界全体が一定の共通認識で取り組みを進める必要があると指摘。元請け企業には適正価格での下請け契約の締結、下請け企業には雇用する技能労働者の賃金水準の引き上げを図るよう求めた。
また、社会保険などの未加入問題をめぐっては、技能労働者の社会保険加入に必要な費用が、12年4月に現場管理費率式の見直しで事業主負担を予定価格に反映されたことに続き、労務単価に本人負担分が盛り込まれた。
このため、元請け企業には、法定福利費相当額を含んだ下請け契約の締結、下請け企業には法定福利費相当額を含んだ賃金の支払いと労働者の社会保険加入を促進するよう求めている。
公共工事を発注する地方自治体に対しては、13年度労務単価を早期に適用することに加え、低入札価格調査制度や最低制限価格制度を活用してダンピング受注を排除するよう要請。民間発注者に対してはこれ以上技能労働者が減少しないよう、必要経費を含んだ適正な価格での工事の発注を求めた。
提供:建通新聞社