国土交通省と農林水産省が定める2013年度の公共工事設計労務単価は、全国全職種の単純平均値で前年度の1万6504円から15%超の大幅な増加となるもようだ。普通作業員の単価は前年度比16%超上昇し1万4500円程度となる見通し。技能労働者の減少に伴う労働市場の実勢価格を反映させたことに加え、社会保険加入を促進するため、必要な法定福利費相当額を単価設定に盛り込んだことが大幅上昇の要因。労務費上昇が入札不調の増加を招いている被災地については、入札不調の発生率などに応じて単価を段階的に引き上げる仕組みを導入し、全国平均を上回る前年度比20%超の大幅な伸びとなる見込みだ。
公共工事設計労務単価は、12年度に統計調査結果などを使って最新動向を反映させたことで、単価公表を始めた1997年度以降で初めて上昇し、全国平均で0・9%増加。
13年度の労務単価の算定に当たっては、社会保険加入に必要な法定福利費相当額(本人負担分)を確保。建設投資の減少に伴う競争の激化で、社会保険に加入できない労働者が依然として多くいることに加え、賃金上昇の見通しが立たない建設業界への若手入職者も減少し続けている。こうした入職者の減少や賃金低下に歯止めをかけるため、社会保険の未加入者も加入できるよう、法定福利費相当額を適切に単価に反映させる対策を講じる。
一方、被災地ではこうした問題に加え、発注量の増加で労務費が急騰。これによる入札不調の増加が復興の遅れにつながっている背景もあり、被災3県を対象に入札不調の発生状況などに応じた段階的な単価設定の仕組みを取り入れる。
「技能労働者の賃金引上げを要請」
13年度の労務単価の決定に合わせ、国交省は、建設業団体と公共・民間発注者に対し、建設労働者の賃金を適切に支払うよう要請する。労働需給の逼迫(ひっぱく)傾向が構造的な問題であるとの前提で、迅速に対策を講じるよう求める。このうち建設業団体に対しては、適正価格での下請け契約の締結に加え、雇用する技能労働者の賃金水準の引き上げを求める。労務単価に法定福利費相当額を盛り込んだことを踏まえ、社会保険などへの加入を徹底することも合わせて求める。
提供:建通新聞社