国土交通省は2013年度からCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を活用したモデル事業を直轄工事で試行する。12年度にモデル事業を行った詳細設計11件のうち、13年度に工事を発注する7件を「指定工事」として3Dモデルの活用と完成データの納品課題を検証する。それ以外の工事からも「希望工事」を選定し、施工者の提案に応じて活用を図る。調査・設計業務のモデル事業の対象は、詳細設計から概略設計など上流側に拡大して新たにモデル事業を選定する。
こうした方針を27日に開いた「CIM制度検討会」に報告した。同検討会には12年度にモデル事業として試行した詳細設計業務11件についても、検証結果の中間報告を行った。
12年度のモデル事業については、受注者と発注者に対してCIM活用の課題と効果を調査。効果は▽打ち合わせ時の相互理解の促進▽情報の共有化による作業の効率化▽3Dモデルから自動作成が可能で設計ミスを防止できる(作図・図化)―などを確認した。
一方課題は▽ソフト間のデータ変換システムが必要▽データが重く費用対効果が望めない(構造物設計)▽算出根拠が確認できない(数量計算)▽寸法線の追加に手間がかかる(作図・図化)―などの声が上がっている。
中間報告で示された課題については、12年度のモデル事業の受注者と発注者にヒアリングするとともに、13年度に試行する調査・設計業務のモデル事業の中でも検証。13年度は、活用の範囲を設計業務の一部から全設計範囲に拡大するほか、概略設計や比較設計、予備設計も対象業務に加える。測量業務や地質調査での試行も検討する。
さらに13年度は工事でもモデル事業を行う。12年度の詳細設計業務の中でモデル事業を行った11件のうち、13年度に工事を発注する7件を指定工事として試行し、設計時3Dデータ活用、施工時追加3Dデータ、施工計画、工程・安全管理などの適否を検証する。詳細な検証内容は契約後に協議して決め、検証費用は契約変更で清算する。
これ以外の工事についても、入札公告時に希望工事を選定し、工事契約後に施工者の提案でCIM活用(一部も可能)として検証する工事を試行する。試行工事では、CIMの活用状況に応じて成績評定の加点などのインセンティブを付与する。
このほか、13年度にはCIM活用時の制度も継続して検討する。数量算出の計算方法の確認や要領の改訂に加え、工事契約図書としてのCIMモデルの取り扱いについて検討する。
提供:建通新聞社