日本建設情報総合センター(JACIC)の呼び掛けで発足した「CIM技術検討会」は、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の普及に向けた報告書の大筋を固めた。報告書では、今後のCIM推進に向けた実施計画となる「CIM推進計画(仮称)」を国が策定するよう提案。国土交通省のモデル事業に対しては、CIM活用の効果は大型工事でより発揮されるとし、復興事業やデザインビルド、詳細設計付発注などに活用を広げるよう求めている。
CIMは、コンピューター上に作成した3次元モデルの構造物に部材数量やコストなどを付加し、建設生産システム全体を効率化する取り組み。
報告書では、CIMの概念を「情報の受け渡しから共有へ」と位置付けている。CALS/ECで進めてきた情報の受け渡しを中心とする取り組みから、成熟するデータモデルを活用・変更し、情報共有により共同作業・並行作業の実現へと移行するよう提言した。
1996年に策定された「建設CALS整備基本構想」から15年が経過し、電子入札や電子納品が飛躍的に進んできたことを踏まえ、CIMについても「CIM推進計画(仮称)」を策定し、短期・中長期の目標設定をした上で普及を進めるよう求めている。
国交省が12年度から開始したモデル事業に対しては、さまざまなタイプの試行を行い効果や課題を検証するよう提案。特に、東日本大震災の復興事業などを例に大型プロジェクトでの試行はスケールメリットがあると指摘。また、デザインビルド、異業種JV、詳細設計付発注などに試行を拡大すれば、計画段階や設計段階から施工者の意見を反映することができるなどとした。
加えて、検証事例を拡大するため、総合評価方式や成績評定での加点などのインセンティブがあれば、産業界の投資対象としてCIMの優先順位が上がると訴えた。基準類に選択肢を設けて柔軟な運用とするなど、制約を緩和してCIMに取り組むハードルを低くすることも提言している。
検討会は2013年度も活動を継続し、モデル事業のフォローアップなどを行う。
提供:建通新聞社