国土交通省の「下水道施設の運営におけるPPP/PFIの活用に関する検討会」は、下水道施設へのPPP/PFI活用に向けた中間整理をまとめた。中間整理では、下水道分野のPPP/PFIをめぐる「地元企業活用」「柔軟な事業者選定の必要性」「事業者の経営努力への利益還元」などの課題を抽出。こうした課題を踏まえ、検討会では、下水道分野でPPP/PFIを導入すべき分野、事業者選定や契約の在り方などを示したガイドラインなどを2013年度中に策定する。
下水道施設は、管路と処理場のいずれも老朽化が進行しているが、下水道管理者である自治体は厳しい財政や人材不足で十分な対応ができていない。処理場の維持管理業務は9割以上が民間委託されているが、PFI事業の導入は11年度末時点で7件にとどまっている。
昨年12月に発足した検討会では、地方自治体や下水道事業運営に携わる民間企業からのヒアリングを通じ、下水道分野のPPP/PFI活用への期待と課題を整理した。自治体では、維持管理から今後の改築更新投資を含めた事業の効率化に期待する声が上がる一方、PFI導入手続きに必要な事務負担や地元企業の活用方法などの課題が示された。
企業側からは「事業者の提案書作成負担が大きいため、応募経費の一部を公共側で負担する必要がある」「事業期間中の社会変化(例・固定価格買取制度)への対応の必要性」「PPP/PFIを活用して予防保全型管理を行う場合、維持管理業務を国庫補助の対象にできないか」などの課題が示された。
検討会では、13年度中に下水道分野で管理者が担う事業範囲とPPP/PFIを導入できる範囲を整理するとともに、事業者選定の進め方や契約の在り方などを盛り込んだガイドラインを作成するとしている。
提供:建通新聞社