国土交通省の「技能労働者の技能の『見える化』ワーキンググループ」は21日、技能労働者の資格・経験・社会保険の加入状況などのデータベース化に向けた中間報告をまとめた。中間報告では、技能労働者のID取得について、当面は任意の参加を基本に制度設計を進め、利用者の拡大で費用負担の軽減を図ると明記。登録された情報を法定福利費の別枠計上に活用する方針も示した。WGは13年度も継続して検討を進め、同年度末をめどにシステム運用構想をまとめるとしている。
技能の「見える化」は、雇用関係が流動的な技能労働者が技能に見合った処遇を受け、多様な業種でのキャリアパスが可能な就労環境づくりを進めるための取り組み。WGは、資格や経歴などの情報を蓄積したIDを技能者に付与し、発注者や建設企業が閲覧できる枠組みの構築を検討している。
中間報告では、作業員名簿に記載されている技能労働者の工事経歴・資格・研修受講履歴・社会保険加入状況の情報をIDに蓄積すると定義。ID付与の方法については▽技能労働者を直接使用する企業による付与▽元請け企業による付与▽技能労働者本人が直接取得―の三つの方法を軸に検討を継続するとした。
IDの取得は、中小企業の業務負担や費用負担に配慮し、建設業法体系の中で義務付けるのではなく、当面の間は任意を基本とする方向で検討する。費用負担についても、事業の枠組みをさらに精査した上で、利用者を増やして各利用者の負担を軽減する方向で検討する。
社会保険未加入問題に対しても、技能者の加入状況の情報を蓄積することで、元請け企業の確認業務の省力化などに役立てる。法定福利費の別枠計上については、登録情報を活用する方向で引き続き検討する。中間報告では、本人確認や偽装申告防止に効果が期待できるとして、建設業退職金共済制度との連携も検討すべきと記載した。
登録された情報を管理する機関は民間公益団体とし、技能労働者本人が登録情報を常時閲覧できるようにするとともに、技能労働者を直接使用する建設企業や発注者なども随時閲覧することを可能にすべきとした。
WGでは、今回の中間報告をベースに論点整理を進め、13年度末をめどにシステム運用構想をまとめる。14年度以降、WG内に「システム検討チーム(仮称)」を設置してシステムの詳細を固め、関係団体で構成する「システム構築推進協議会(仮称)」を立ち上げ、システムの構築作業を進める。
提供:建通新聞社