国土交通省は15日、2010年度から普及を進めてきた情報化施工技術のうち「トータルステーション(TS)による出来形管理技術(土工)」の使用を直轄工事で原則化することを決め、各地方整備局などに通達した。使用を原則化する範囲は「1万立方b以上の土工を含む工事」で、年間1000件程度の対象工事が見込まれる。4月1日以降に入札手続きに入る工事が対象となる。
TSによる出来形管理技術(土工)は、TSで測量した位置の座標データを出来形値(基準高、長さ、幅)に変換し、設計データとの差分を算出する技術。測量結果を電子データで記録、帳票を自動出力することで、現場で任意点の設計との差異を把握でき、判断や指示も迅速化される。
国交省は10年度、同技術を3年後をめどに一般化する「一般化推進技術」に位置付け、直轄工事で普及を進めてきた。1万立方b以上の土工を含む工事における活用率は65・3%(12年11月末時点)で、半数を超える工事にまで活用が広がっている。
従来の施工管理と比べ、コストが同等であることに加え、施工者へのアンケートでも「帳票の自動生成」や「立ち合いの準備作業・丁張り設置・施工時の測量の効率化」などの効果が確認された。このため「1万立方b以上の土工を含む工事」において、同技術を特記仕様書に規定し、使用を原則化する。これに伴い、これまで工事成績評定で行っていた加点措置の対象からは除外する。
TSによる出来形管理技術(土工)と同じく、10年度から一般化推進技術に指定されていた「MS(モータグレーダ)技術」については、活用は進んだものの、使用による間接工事費の増加が確認されたことから、13年度に使用を原則化することは見送る。
提供:建通新聞社