国土交通省の「高知県内の入札談合事案に係る再発防止対策検討委員会」は、直轄工事で発生した官製談合問題を受けた再発防止対策などを盛り込んだ最終報告書をまとめ、公正取引委員会に提出した。再発防止対策は、入札書と技術提案書の同時提出などの入札手続きの見直し、地方整備局ごとに「コンプライアンス推進本部」を設置することなどを柱とする。最終報告書では、中間報告で示された「技術提案書における業者名のマスキング」について、過度な事務負担とならないか検証する必要があるなどと見直しの方向性を示した。
検討委員会は、四国地方整備局が発注した直轄工事で、完成談合が発覚したことを受けて設置された。公取委からの改善措置要求を受け、有識者を交えた検討委員会で談合の背景や再発防止対策を検討した。
再発防止対策については、中間報告に盛り込まれた▽予定価格作成時期の後ろ倒し▽入札書と技術提案書の同時提出▽技術提案書での業者名のマスキング▽総合評価方式での積算業務と技術審査の分離体制確保▽総合評価方式における評価の厳正な運用―など、入札手続きの見直しを行うよう提言。こうした取り組みについて、各地方整備局で既に試行を開始した。
ただ、入札手続きの見直しのうち、業者名のマスキングは、過度な事務負担とならないか試行を通じて検証すると記載。入札書と技術提案書の同時提出で十分な効果を発揮できるとして、検証結果を踏まえて実施を見送る可能性を示唆した。
コンプライアンスの強化に向けては、既に各地方整備局にコンプライアンス推進本部を設置。推進本部は毎月1回開催し、各事務所長に取り組みの内容を報告させる。各地方整備局は、本省に半期に1回程度の頻度で報告。本省は外部有識者らによる公正入札調査会議の助言・指導も求める。
最終報告書には、地方局各事務所(254事務所)の所長・副所長に対するアンケート調査の結果も盛り込まれた。この中では、談合が地域雇用の維持や事業量の公平な配分「必要悪」との認識があるかを問う設問に対し、対象職員の8・8%が「ある」と回答。四国地方整備局管内のC等級業者に対する同じ設問では26・9%が「必要悪」と答えた。
提供:建通新聞社