文部科学省の「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」が13日、「学校施設の老朽化対策について」と「学校施設整備基本構想の在り方について」という二つの提言をとりまとめた。老朽化対策では、改築から「長寿命化改修」への転換とともに、既存ストックの他用途への転用や減築の必要性も指摘。施設の予防保全や長寿命化などに取り組む自治体にとって参考となる26の先進事例を収録した。
また、整備基本構想については、新しい教育ニーズへの対応だけでなく、耐震化や老朽対策、バリアフリー化なども含めて総合的に検討するよう提言。構想策定・活用プロセスの参考事例として東京都板橋区や宮崎市などの取り組みを示した。提言は近く正式に報告書として公表する。
公共施設の約4割を占める学校施設は、鉄筋コンクリート造の場合でも平均42年で改築されてきた。昭和40年代後半から50年代にかけて大量に建設された学校施設は平成40年(2028年)ごろに更新時期を迎え、膨大な更新費用が見込まれる。ただ、現在、国や自治体の財政状況が厳しいことから提言では、限られた予算で効率的に施設の安全を確保するために「長寿命化改修」への転換を図る必要があると指摘した。
長寿命化改修のイメージは、70〜80年程度使用することを目的に通常よりグレードの高い改善を行うものとし、コンクリートの中性化対策や鉄筋腐食対策、劣化に強い塗装・防水材の使用、ライフラインの更新、少エネルギー化などを例示しているが、具体的な手法はさらに検討が必要だとしている。
文部科学省は2013年度、国庫補助メニューに「長寿命化改良事業」を加えるほか、長寿命化改修や工期短縮の具体的手法、改修・改築時期の目安、コストなど体系的に整理した手引きを作成する。
提供:建通新聞社