国土交通省と厚生労働省は、2012年度補正予算と13年度当初予算の執行に向け、建設業の人材不足対策を検討する実務連絡会議を立ち上げ、13日に初会合を開いた。実務連絡会議は両省の事務次官が合意して設置。当初予算と補正予算に盛り込まれた公共事業費の円滑な執行に向け、技能者不足の解消に向けた当面の対策などを両省が連携して検討する。国会審議中の当初予算の成立までに一定の方向性を示す見通しだ。
実務連絡会議は、国土交通省の日原洋文土地建設産業局建設流通政策審議官、厚生労働省の内田俊彦大臣官房審議官(職業能力開発担当)をヘッドとする。実務担当者が集まり、東日本大震災の被災地だけでなく、補正予算の執行で懸念される被災地外の技能者不足などについて、両省の認識を共有した上で当面の対策を検討する。
建設業の就業者数は、1997年のピーク時から約28%減の497万人(2011年平均)まで減少。特に技能者については、直近の15年間で大工が47・8%減、土木工が44・2%減と、それぞれ半数近くまで減少。全就業者の33%を55才以上が占めるなど、高齢化の進行も深刻だ。
「15カ月予算」として編成された12年度補正予算と13年度当初予算には、公共事業費として総額10兆円超が盛り込まれており、こうした建設業の現状から被災地・被災地外での円滑な予算執行を懸念する声も挙がっている。
初会合では、国交省がこうした建設業の人材不足の現状と課題、建設業団体などで進めている人材確保策などを説明。厚労省からは、ハローワークにおける支援状況や職業訓練の現状、13年度に創設する「建設労働者確保育成助成金」などに関する説明があったもよう。
実務連絡会議では、当初予算の執行に間に合うよう、当面の対策を打ち出すとともに、その後も継続的に会議を開き、人材不足を引き起こしている建設業の構造的な問題についても、両省で連携して対策を検討する考えでいる。
提供:建通新聞社