年度末の資金繰り対策として国土交通省は、保証事業会社の金融保証事業を活用した「ゼロ債金融保証」を実施する。この仕組みを使えば、ゼロ国債などの債務負担行為で2012年度中に契約する工事請負代金の前払金相当分を年度内に受け取ることが可能となる。
12年度補正予算では、発注の平準化を目的に、国交省分として事業費ベースで総額2600億円余りの国庫債務負担行為を設定した。都道府県や市区町村の多くもゼロ県債やゼロ市債などを計上している。
ただ、債務負担行為に基づく工事は、年度内に契約が可能となるものの、費用支出は翌年度に限られる。このため、建設業は年度内に工事を受注しても、資金繰りに苦しめられるケースが多かった。
こうした状況を打開するため国交省は、保証事業会社の金融保証事業を活用して、建設業の資金繰りを円滑化させる必要があると判断。08年度・09年度に実施したゼロ債金融事業を復活させることにした。
具体的には、前払金の保証を予定する保証事業会社が前払金相当額を限度として、金融機関に100%の金融保証を行う。これによって、金融機関の貸し出しリスクがなくなり、建設業が融資を受けやすくなる。
対象工事は、12年度に国や自治体などと請負契約を締結した工事のうち、年度内に発注者から前払金が支払われないもの。ゼロ国債、ゼロ県債、ゼロ市債などに基づく工事が該当する。ただし、低入札価格調査の対象となったものは除外する。保証の対象範囲は、工事着工に必要な資金であって、13年度に発注者から支出される予定の前払金の範囲内とする。
この仕組みを利用するには保証料や利息が必要となる。国交省の試算によると、請負金額が1億円の工事を契約した建設業が1000万円の融資を1カ月間希望する場合、保証料(日歩3厘)が約9000円、利息(年利2・4%と仮定)が約2万円となる。約3万円で1カ月間、1000万円の融資を受けることができる計算だ。
通常、金融機関からの借入は経営事項審査の経営状況に関する評点(Y点)にマイナスの影響を与えるが、ゼロ国金融保証を利用した借入については、不利益を被らないような措置も併せて講じる。
提供:建通新聞社