日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、会長・三村明夫新日鐵住金相談役)の日本創生委員会(委員長・寺島実郎日本総合研究所理事長)は25日、都内で行った第33回委員会で「日本経済再生に資する『林業復活』についての提言」を採択し、甘利明経済再生担当大臣と林芳正農林水産大臣それぞれに手交した。同委員会の森林再生事業化委員会(委員長・米田雅子慶應義塾大学特任教授)が国産材の需要拡大、政治の取り組み、民間の取り組みの三つの柱にまとめ、林業の復活を骨太の方針に明記し、官民が一体となって日本経済再生策の一つとして推し進めるよう求めた。
三村会長のあいさつの後、米田委員長=写真=は、「人工林資源を中心に、国内森林は成熟利用期を迎えている」と森林資源の現況を報告。その上で、「いまこそヒト(人材)、モノ(技術)、カネ(投資)を投じ、林業を新しい視点から復活させ、山間地域や需要先の雇用を増やすとともに、確たる産業として成長させることが日本経済再生の一助となる」と提言の趣旨を説明した。
JAPICでは、林業の復活は@中長期的視点(木材産業の永久循環型特質)A地方地域の産業としての視点B国土潜在力の活用(自給率向上)C多面的効用(観光、教育、エネルギー資源)―の観点から、安倍政権が軸とする経済再生に大きく寄与する施策であると主張。同委員会の森林再生事業化委員会が中心となり提言をまとめた。
提言では「国産材の需要拡大」「政治の取り組み」「民間の取り組み」の3本の柱を立て、経済界を挙げた国民運動として展開させていくことの必要性を訴えている。このうち国産材の需要拡大では、国産材使用の啓発、使用インセンティブ政策、木材利用関連法規の改正、産業基盤の整備などを要望としてまとめた。
また政治の取り組みでは、省庁横断的な推進体制の確立、官民連携体制の構築、財政政策としての位置付けなど。民間の取り組みでは技術革新や新製品開発、国産材の使用PRやマークの普及、輸出市場調査などを挙げた。
寺島委員長は、「日本経済の再生に向け、具体的なプロジェクトとしてエンジニアリングし実現していくことがJAPICの使命。今回の提言は、元気な長寿社会を目指すソーシャルエンジニアリング(社会工学)の視点からも極めて重要な内容である」と総括した。
当日は、提言の手交後、甘利大臣が「日本経済再生に向けた成長戦略」、林大臣が「攻めの農林水産業」と題し講演した。
提供:建通新聞社