日本建設情報総合センター(JACIC)の呼び掛けで発足した「CIM技術検討会」は、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の普及に向けて、現行の入札契約制度や技術基準類の見直しを求める提言を3月にまとめる。総合評価方式の評価項目への設定や工事成績評定での加点といったインセンティブ付与の必要性も盛り込む考えだ。
CIMは、コンピューター上に作成した3次元モデルの構造物に部材の数量やコストなどの属性情報を付加することで、建設生産システム全体を効率化しようというもの。技術検討会は、CIMと関わりの深い民間団体をメンバーとして、技術的課題やその解決に必要な手法を検討している。
3月にまとめる提言では、CIMの理念や具体的なイメージを明確化する。その上で、日本の全てのインフラを情報として定義・構成し、多様な目的で利活用できる「仮想日本」の構築を技術的な目標に位置付ける。
CIMの実現に向けては、プロジェクトの関係者が互いにプロダクトモデルを確認しながら意見交換する場に加え、事業推進の中心となる「CIMマネージャ」の重要性を指摘し、その求められる役割や能力を明示していく。
また、設計施工分離を前提とした現行の入札契約制度では、計画・設計段階から施工段階までトータルで生産性を高めるCIMの特性を十分に生かし切れないとの認識から、新たな枠組みの検討を求める。
技術基準類をめぐっては、例えば、改ざん防止の観点から編集が認められていない工事写真の撮影で「モバイル機器などを利用してデジタル写真上に電子的に小黒板を写し込んでもよいものとする」といった見直しを提案する。
CIMを普及させる取り組みの一環として、総合評価方式の技術提案で評価項目の一つにCIMの活用を設定することや、工事成績評定でCM活用に加点することなども必要とする方針だ。
提供:建通新聞社