文部科学省の「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」を受託した産学官連携コンソーシアム(代表・日本工学院八王子専門学校)は、20日に6回目の会合を開いた。事務局から社会基盤整備分野の中核的専門人材養成に向けたカリキュラム案が報告され、1〜2年時に土木・建築などの基礎科目、3〜4年時に現場の問題解決方法などを学ぶ「プロジェクト演習」を導入するなどとした。他の専門学校や大学との単位互換も図るとしている。
文科省の委託事業である戦略的推進事業は、人口減少が進む中で成長分野や需要の高い分野への人材のシフトを目指し、産官学の連携で「中核的専門人材」を養成する学習カリキュラムの作成を各分野で進めている。
12年度から、九つの成長分野の一つに「社会基盤整備」が位置付けられ、日本工学院八王子専門学校を代表とするコンソーシアムが事業を受託した。ゼネコン、建設コンサルタントなどがコンソーシアムに参加し、社会基盤整備の分野を「国内インフラ」「海外インフラ」「建設IT」に分類して新たなカリキュラムを検討している。
コンソーシアムでは、カリキュラムの受講により育成する人材像を「卒業から10年後に現場で活躍できる人材」としている。20日の会合で示されたカリキュラム案では、土木・建築、建設IT(BIM)の各分野で実技・学科の基礎授業だけでなく、4年間の在学期間を通じた「建設エンジニアのコア科目」の履修を求めるとした。1〜2年時にエンジニアの倫理など人材力を育てる授業を行うとともに、インターンシップ制度などを活用したプロジェクト演習も行い、建設の仕事の実務を学んでもらうようにする。
コンソーシアムは、3月11日に12年度の報告書をまとめるとともに、13年度もカリキュラムの詳細を継続して検討する見通しだ。13年度には「インフラの長寿命化」や「日本のインフラ海外展開を担う留学生の教育」などを検討項目に追加することを考えている。
提供:建通新聞社