国土交通省は、東日本大震災からの復興を加速させるため、新たな施工確保対策を講じることを決めた。コンストラクション・マネジメント(CM)方式を活用した新たな発注者支援策を大槌町(岩手県)で試行するほか、労働者宿舎の建設が必要な事業での積算方法や、生コンクリート類に単品スライド条項を適用する際の運用方法を明確化する。生コンの公共工事向け専用プラントを確保する手法の検討にも入る。19日に開いた「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」にこうした方針を示した。
東日本大震災の被災地では、復興事業の本格化とともに、技術者・技能者や資材の不足が深刻化している。これまで国交省は▽復興JV制度の創設▽技術者専任要件の緩和▽実勢価格を反映した公共工事設計労務単価の設定―などの対策を展開してきたが、人材や資材の不足により復興に遅れが生じる懸念が依然としてぬぐえていない。
こうした状況を受けて国交省が打ち出した新たな対策のうち、発注者支援の観点からは、既に被災地で試行している「CM方式を活用した設計施工一括発注方式」に新類型を設ける。従来は、市町村から業務全般の事業調整を委託されたUR都市機構が、大規模な土木工事の実績を持つ事業者をCMRとして選定していた。これに対し新方式では、CMR(ピュア)という新たな主体を設定し、UR都市機構が担っていた役割のうち、工事施工全般を統括するCMR(アットリスク)との調整や実施設計審査・施工管理支援などを委ねる。
また、遠隔地から確保した労働者の宿舎確保が困難になっている地域があるため、▽地域内での労働者確保が困難▽宿泊施設が確保できない▽工事の不調・不落が多発している―といった要件を満たした場合、発注者が建設費用や撤去費用を共通仮設費の積み上げ分として計上するための積算手法を明確化する。
生コン類の価格高騰に対しては、単品スライド条項を生コン類に適用する上での基本的な考え方や事務簡素化に関する手法を3月中に整理する。さらに、生コン類の不足への対応策として、海運により調達する砂の荷揚げ施設・ストックヤードを拡大するとともに、公共発注者が公共工事向け専用プラントを確保するためのスキーム(不足する原材料は域外からの調達を想定)を設定する方向で、関係者との調整を進めていく方針だ。
提供:建通新聞社