国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会官庁施設部会は18日、大津波を想定した官庁施設の機能確保の在り方に関する答申をまとめた。答申では、東日本大震災の教訓を踏まえ、津波発生時の官庁施設の機能確保の考え方を整理し、「津波防災診断」の実施を各省庁に求めるとともに、その結果に基づく既存施設への対策を提言した。国交省は今回の答申を受けて3月にも通知を発出し、各省庁に津波防災診断の実施と診断結果に基づく改修工事の実施などを促す。
政府の中央防災会議では、発生頻度は低いが発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの「レベル2津波」と、津波高は低いが大きな被害をもたらす「レベル1津波」と位置付けており、各行政機関でも二つのレベルの津波を想定した対策が検討されている。
今回の答申では、レベル1津波には施設整備による防災対策、レベル2津波には施設整備と施設運用管理が連携した減災対策を講じることを基本とする。
施設整備では、レベル1津波に対しては、浸水が想定される高さより上階への主要室や重要な設備機器の移転、止水板の設置などを実施。レベル2津波には、基準水位よりも上階への一時的避難場所などの配置、設備システムの系統分離などによる電力や通信機能の確保などに取り組む。
建築物単体としての対策に加え、地方自治体の施設も含めたエリア内の官庁施設をグループ化し、移転することも対策の一つに挙げている。
国交省では、今回の答申を踏まえ、既存官庁施設の現状調査と分析を行う「津波防災診断」の実施を各省庁に促す。国交省が所管する施設については、早ければ13年度に対策を講じる施設もある。また、官庁施設の新築については、3月末に技術基準を改正し、津波や長周期地震動などへの防災機能の強化を図るとしている。
提供:建通新聞社