2013年度に賃金改善を見込む建設業の割合は37・8%と、前年度に比べ8・2ポイント増加し、全産業中最も高い伸び率を示したことが、帝国データバンクの調べで分かった。東日本大震災の復興需要が増えた影響で、「ある程度(賃金を)アップしなければ、技能者不足により同業他社に移られる」(一般土木建築工事、東北)などと、人手不足を要因として挙げる声が上がった。
建設業の賃金改善動向は、調査を始めた08年度が34・9%だったものの、09年度はリーマンショックの影響で23・3%に下落。その後、徐々に改善傾向を示しながら、13年度は大きく数字を伸ばした。
産業全体では、賃金改善の見込みがある企業の割合が39・3%と、建設業をわずかながら上回った。地域別に見ると、賃金改善を見込む企業は東北(42・4%)、近畿(41・6%)、南関東(40%)で4割台に上った。
賃金改善する理由を複数回答で尋ねたところ、「労働力の定着・確保」が58・4%で最も多く、「自社の業績拡大」51%、「同業他社の賃金動向」13・2%などが続いた。一方、賃金改善がない理由としては、「自社の業績低迷」が最多の66・9%で、次いで「同業他社の賃金動向」21・3%、「内部留保の増強」16・5%などの順となった。
2013年度税制改正に盛り込まれた雇用・所得拡大に向けた税制措置が給与に与える影響をめぐっては、23・6%が「影響を与える」と回答。企業からは「今まで給与を改善しても、会社負担が増すだけだったが、この税制措置は中小企業の負担が軽減され、好意的に働く」(機械器具卸売、四国)と政策による後押しを歓迎する声があった。一方、「景気回復が無ければ、雇用も賃上げもできず、利益がなければ税金も払えない」(陸運、北関東)といった厳しい意見も寄せられた。
「2013年度の賃金動向に関する企業の意識調査」は、全国2万2972社を対象として1月に実施。45・5%に当たる1万0461社から回答を得た。
提供:建通新聞社