トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2013/02/14

「新たな耐震改修工法の活用を」 国交省・建築分科会が提言

 国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会は12日、住宅・建築物の耐震化促進方策に関する提言をまとめた。一定の大規模建築物や避難路沿道建築物に耐震診断を義務付けるために耐震改修促進法を改正することに加え、耐震診断・改修に要する費用の軽減や、信頼できる技術者の育成、新たな耐震改修工法の活用などを求めた。
 住宅・建築物の耐震化をめぐっては、2012年7月に閣議決定した日本再生戦略で20年までに耐震化率を95%まで引き上げる目標を掲げた。しかし、08年時点で住宅の耐震化率は79%、特定建築物の耐震化率は80%と、このままでは目標達成が厳しいのが現状だ。
 こうした状況を受けて提言は、耐震改修促進法を改正し、全ての建物に耐震診断・改修の努力義務を課した上で、所管行政庁による指導・助言の対象とする必要性を指摘。さらに▽不特定かつ多数が利用する建築物▽避難確保上特に配慮を要するものが利用する建築物▽一定量以上の危険物を取り扱う貯蔵場、処理場―のうち、大規模な建築物には耐震診断を義務付けて、遅くとも15年末まで実施させるよう求めた。特に重要な避難路の沿道建築物や防災拠点となる建築物も、各自治体が実情を踏まえて耐震診断の義務化を検討することとした。これを踏まえ国交省は、3月上旬に耐震改修促進法改正案を国会提出する方針だ。
 耐震診断・改修に要する費用軽減に向けては、特に密集市街地内の避難路沿道や緊急輸送道路沿道などの住宅・建築物について、国が民間事業者などに直接支援する補助制度の創設を含め、積極的に支援すべきと指摘。耐震性のない空き家などを除却する補助制度も拡充・普及が必要とした。
 信頼できる技術者を育成する観点からは、耐震診断の義務付け対象となる建築物の耐震診断を、一定の講習を受講した建築士に限定すべきとした。耐震診断・改修設計の質を確保するため、これらの報酬が適切に算出できる手法の検討も求めた。
 新たな耐震改修工法の活用に当たっては、耐震改修促進法に基づく耐震改修計画認定制度について、耐震改修により容積率や建ぺい率の制限に適合しなくなることがやむを得ないと所管行政庁が認めた場合、これらの制限を適用しない仕組みの構築を要請した。

提供:建通新聞社