建設業振興基金(内田俊一理事長)は1日、「建設産業人材確保・育成方針策定会議」の初会合を開き、建設技術者・技能者に対する教育体系の構築を見据えた議論に着手した。5月に中間報告をまとめた上で、関係団体や行政機関との意見交換を重ね、今秋に打ち出す建設産業人材確保・育成に関する方針に反映させる。
この会議は、建設技術者・技能者の高齢化や若年入職者の減少といった課題を抱える中で、建設産業の人材育成・確保を体系的に進めていくために設置された。内田理事長は会議開催に当たり、「若者は必要なスキルをどこでどのように身に付ければいいか知りたがっている。立体的で具体的な建設産業のイメージを伝えるための手法を行政・企業・教育の現場が連携して考えていこう」と呼び掛けた。
初会合では、事務局側が建設産業の就業状況を説明した後で、鹿島安全環境部担当部長の本多敦郎委員、フジタ建築本部建築部長の石井友博委員、練成工業社長の岡田宏章委員が人材確保・育成に向けた自社の取り組みを報告した。
この中で型枠工事業を営む岡田委員は、若手技能者の確保で直面している課題について▽建設業界全体や就労環境に対するイメージが良くない▽現場の最前線で従事する仕事は収入の不安定さや老後の保障といった観点で、親族から入職を勧められることが少ない―ことなどを例示。さらに、入職後には▽朝の就業時間が他産業に比べ早い▽休日が不安定▽技能向上に向けたキャリアアップが施設、費用、時間の問題から取り組みにくい―といった点から離職者が多い状況を説明し、こうした現状の改善を求めた。
提供:建通新聞社