厚生労働省の「厚生年金基金制度に関する専門委員会」は1日、10年後の厚年基金制度廃止を打ち出した厚労省の試案に対する意見書の内容を大筋で了承した。意見書では、厚生年金基金の制度的基盤である代行制度について「今後の持続可能性は低い」とし、10年間の移行期間を経て代行制度を廃止するとした試案の方向性を妥当だと結論付けた。
意見書では「代行割れ基金の不足分に対する税財源の投入はあり得ない」と指摘し、代行割れを放置したままでの基金解散が「モラルハザード」につながると問題視。一方、代行部分に関する基金の財政リスクが厚生年金本体の財政に及ばないようにする方策が必要だとも指摘した。
代行制度については▽基金の新設を制度的に停止するなど代行制度を段階的に縮小▽財政状況が健全な基金は他の企業年金制度へ移行▽10年間の移行期間を経て代行制度を廃止―とした厚労省試案の基本的な方向性を妥当との意見で一致。意見書には「代行割れ問題を特例解散制度の見直しにより制度的に解決する以上、代行制度についての抜本的な見直しを行わないという選択肢はあり得ない」と主張した。
厚労省は今回の意見書を踏まえ、開会中の通常国会に厚生年金保険法の改正案を提出する予定。
提供:建通新聞社