国土交通省が行った地方自治体の社会資本の維持管理・更新に関するアンケート調査で、回答した自治体の3分の2を超える67・7%が公共施設の中長期的な維持管理・更新費を把握していない現状が明らかになった。20・3%の自治体も過去の投資実績からの推計にとどまっており、耐用年数や老朽化の実態を含めた試算を行っている自治体は12・1%に過ぎなかった。
アンケート結果は、25日に開かれた社会資本メンテナンス戦略小委員会に報告された。調査の一部は現在も集計を進めており、今後明らかにする。
中長期的な公共施設の維持管理・更新費については、把握していない自治体が67・7%、過去の投資実績から見通しを想定する自治体が20・3%、投資実績や耐用年数から推計する自治体が6・8%、耐用年数・老朽化の実態・維持管理実績から推計する自治体が5・3%となった。維持管理・更新費を把握していない自治体は、都道府県や政令市では30〜40%台となったが、市区町村で69・1%と高くなった。
予防保全の取り組みを尋ねる質問では、33・4%の自治体が「特に取り組みを行っていない」と回答しており、予防保全による維持管理を行っている自治体は17・6%、長寿命化に向けた計画・指針を策定している自治体は43%にとどまった。また、49・9%の自治体が維持管理・更新を担う技術者の育成・確保などについて「特に取り組みは行っていない」と答えた。
公共施設の老朽化が進む中で懸念されることを問う質問(複数選択)には「予算の不足などにより、機能・サービス水準の低下のほか、安全性に支障が生じる」との回答が86%を占めた。老朽化した施設の増加を要因に、職員不足が顕著になったり、新規投資が困難になるとの回答も7割近くの自治体で上がった。
国に期待する支援としては、技術者不足などを背景に「職員の技術力向上に向けた実地研修等の実施」と答える自治体が89・4%と圧倒的に多かった。「効率的な維持管理・更新のためのマニュアル等の策定」の53・3%、「長寿命化計画等に基づく予防保全的管理の導入」の48・4%などと続いた。
提供:建通新聞社