高知県内で発生した談合問題に絡み、国土交通省の検討委員会が実態解明に向けた調査の中間報告をまとめた。それによると、関係者への事情聴取などによって、国交省職員4人の関与が新たに判明。これで国交省側の関与者は合わせて10人に達した。この事態を重くみて、検討委員会では入札契約手続きの見直しやペナルティーの強化、応札状況の透明化・情報公開の強化などに取り組むよう、あらためて国交省に求めた。最終報告は本年度中の策定を見込んでいる。
「高知県内の入札談合事案に係る再発防止対策検討委員会」は、2012年9月に公正取引委員会が四国地方整備局発注工事での官製談合を認定した上で、国交省に改善措置要求を行ったことを踏まえ設置された。
調査に当たっては、四国地方整備局管内の国交省職員やOB、事業者など計396人に事業聴取し、官製談合が発生した要因・背景を把握するとともに、出先機関全体の総点検を行った。
官製談合が発生した要因・背景をめぐっては、情報を漏えい側の▽希薄な違法性の認識▽人事・仲間意識▽不適切な情報管理―などを提示。情報提供を働き掛けた側の影響力の大きさに対する指摘もあった。
中間報告に盛り込んだ再発防止対策は、国交省が12年10月の時点で打ち出した当面の対策を具体化した内容。このうち、入札契約手続の見直しについては、国交省が入札書と技術提案書の同時提出や予定価格作成時期の後ろ倒しなどの試行方法を既に各地方整備局などに通達している。ペナルティー強化に当たっては、談合の首謀者に対する違約金引き上げの対象者拡大は措置済みとなっており、今後は誓約書提出者に対する措置の強化(指名停止期間の加重など)を検討していく。
情報公開の徹底に向けては、事務所ごとの一般土木工事の落札率(月平均・年平均)や、業者別年間受注額・受注割合をホームページで公表することを視野に入れている。
中間報告ではこうした取り組みと併せ、地域建設産業が厳しい経営状況の中で将来的にも地域を支えられるよう、適正な競争環境を整備することや、施工力のある建設業者とその担い手の確保・育成を支援していくことが必要と指摘している。
提供:建通新聞社