国土交通省は社会資本の老朽化対策を加速させるため、太田昭宏国交相を議長とする「社会資本の老朽化対策会議」を新設した。21日に開いた初会合で太田国交相は「国民は今まさに防災・減災や老朽化対策に取り組んでほしいと切実に願っている」と強調し、維持管理基準の位置付けを明確化するための法令改正や、安定的な財源確保に力を注ぐ決意を表明した。こうした方針を受けて国交省は、施策の実現時期などを明示した工程表を2月にも策定する。
この会議は、社会資本の老朽化が進む中で、国民の命を守る観点から戦略的な維持管理・更新を進めていくための施策を検討し、着実に実施するために設置した。太田国交相は会議の冒頭、日本の社会資本の現状について「高度成長期に造った構造物の劣化が急激に進んでいる」との認識を示した上で、「国交省として、各部局の枠を乗り越え総合的・横断的に老朽化対策に取り組んでいかなくてはならない」と訴えた。
具体的な取り組みとしては、2012年度補正予算案に盛り込んだ社会資本の安全性の総点検とその結果を踏まえた老朽化対策や、管理者間でバラツキがある点検基準・マニュアルの改善・見直しを想定。また、建設年度や維持管理状況などの情報で構成する維持管理情報データベースの整備にも取り掛かる。
さらに、各局で検討を進めている維持管理・更新費の推計を踏まえ、戦略的な維持管理を推進するための安定的な財源確保策の在り方を探っていく。体制面の充実では、建設産業の担い手確保のための対策や入札契約制度の在り方を検討。社会資本の維持・修繕に関する基準の位置付けを明確化するための法令改正も視野に入れている。
このほか、施設や管理者の違いによって、長寿命化計画の策定状況や内容にバラツキがある状況の改善に取り組む構えだ。
提供:建通新聞社