国土交通省は、2012年度補正予算案に盛り込まれた公共事業の執行を円滑化するため、入札契約制度を見直すことを決めた。入札手続き期間の短縮や一括審査方式の活用、総合評価方式での提出資料の簡素化などを想定。事業執行の迅速化・効率化に大きな効果が見込まれる工事については、指名競争の採用も可能とする構え。別途、技術者・技能者や資材不足への対応策も講じていく方針だ。
15日に閣議決定された12年度補正予算案は、安倍内閣による緊急経済対策の裏付けとなるもので、実質的な公共事業費として約4兆7000億円を積み上げた。このうち国交省分は約1兆8000億円を占めており、迅速な執行体制の確立が求められている。
こうした状況を受けて太田昭宏国土交通相は18日の会見で、「緊急経済対策の効果を発揮させるためには、公共事業の迅速かつ円滑な発注と執行が重要。このような観点から入札契約手続の見直しや人材・資材不足への対応などを推進していく必要がある」と述べ、同日の閣僚懇談会で関係閣僚に協力を要請したことを明かした。
国交省が直轄事業で取り組む対策としては、入札手続き期間を短縮する観点から、補正予算が成立し財務大臣による実施計画の承認・予算の示達後に落札者を決定することを前提に入札公告を前倒しする。また、事業執行の迅速化・効率化に大きな効果が見込まれる工事については、指名競争入札方式により実施しても差支えないことを明確化。総合評価方式の提出資料も簡素化する。一方、受注者に偏りが生じないような措置も講じていく。
発注業務の効率化に当たっては、工事の目的・内容・規模・地域などが同種の二つ以上の工事で提出させる技術資料を同一のものとする一括審査方式の活用や、総合評価方式の二極化の前倒しなどに取り組む。
資材不足の対応策としては、東日本大震災で試行している遠隔地からの資材運搬費を積算に反映させる手法を全国展開する方向で調整を進めている。
自治体発注の事業を含めた対応としては、被災地で試行している技術者の専任要件緩和措置の対象地域を全国に拡大した上で、対象工事を拡大することを想定。また、労務費・資材価格の高騰に備えた措置も検討する。さらに、総務省と連携しながら適正価格での発注などを全国の自治体に促していく構えだ。
提供:建通新聞社