政府が緊急経済対策を閣議決定したことを受けて国土交通省は、日本経済の再生に向けた対策をまとめた。復興・防災対策では、被災地復興のために必要な社会資本整備や、入札不調への対応をはじめとする円滑な施工の確保を推進するとともに、全国で社会資本の早急な総点検などに取り組む。公共事業の地方負担を軽減するため、防災や安全に焦点を当てた社会資本整備交付金も創設する。政府はこうした施策を実現するための補正予算案を15日に閣議決定する方針だ。
緊急経済対策は、安倍内閣が日本経済再生の第1弾と位置付けるもの。太田昭宏国交相は11日の会見で、国交省が打ち出した対策について「命を守る公共事業という観点から、防災・減災対策と老朽化対策が一番の柱となる」と強調。その上で「(今回の対策では)国交省が担うべき部分が極めて大きく、前面に出て取り組んでいく必要がある」との認識を示した。
主な対策は次の通り。
【復興・防災対策】
▽被災地復興のために必要な社会インフラの整備▽被災地での入札不調への対応など円滑な施工の確保▽速やかな社会インフラの総点検と緊急的な補修▽防災・安全に焦点を当てた社会資本整備のための交付金の創設▽密集市街地の改善促進、避難所となる都市公園の整備▽全国ミッシングリンクの整備▽住宅・建築物の耐震改修、建て替えの推進▽東日本大震災を教訓とした地籍整備の推進
【成長による富の創出】
▽住宅・建築物の省エネ改修などの促進▽首都圏空港、国際コンテナ戦略港湾の強化▽大都市圏環状道路の整備▽拠点空港・港湾・鉄道駅と高速道路などとの直結を含むアクセス道路の整備▽渋滞ボトルネック対策▽耐震・環境性能を持つ良好な不動産形成のための官民ファンド創設
【暮らしの安心・地域活性化】
▽道路の無電柱化の推進▽通学路の交通安全対策▽公営住宅の老朽更新・耐震改修▽下水道整備による良好な都市・水環境の形成▽公共事業の円滑な施工確保に向けた契約価格の適正化、人材不足への対応
提供:建通新聞社