国土交通省は、建設技術者の専任配置を全国で緩和する方針を固めた。大規模な補正予算の編成作業が進む中、その多くを占める公共工事の執行を円滑化する狙いだ。東日本大震災の被災地で運用している近接工事での緩和措置について影響を検証した上で、全国への適用拡大を見込んでいる。さらに中長期的には抜本的な対策も視野に入れている。国土交通省の佐々木基土地・建設産業局長が7日の自民党・国土交通部会の中でこうした方針を説明した。
現行の建設業法では、土木一式で工事請負金額が2500万円以上、建築一式で5000万円以上となる場合、技術者の専任配置を求めている。ただ、東日本大震災の被災地では、技術者不足で復旧・復興事業の執行が遅れる懸念があるとして、国交省が2012年2月に一体性・連続性が認められる工事のうち工事現場相互の間隔が5`程度に近接した場所で施工する場合、技術者が原則として2件程度の現場を兼務できることとした。
今回の措置は、大規模な補正予算が編成されれば、技術者不足の問題が全国に波及するとの懸念に対応しようというもの。国交省の佐々木基土地・建設産業局長は本紙の取材に対し、「現在、被災地で展開しているモデル的な取り組みについて、全国に適用を拡大しても運用上の問題が生じていないかをあらためてチェックした上で、補正予算の執行に間に合うよう対応していかなければならない」と指摘した。
また、中長期的な課題として「建設産業が疲弊している中で、技術者不足の問題をどうしていくかを抜本的に検討していく必要がある」との認識も示した。
提供:建通新聞社