国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会建築基準制度部会は18日の会合で、建築基準法や耐震改修促進法の見直しに向けた議論を本格化させた。この中で、日本建築士事務所協会連合会の宮原浩輔専門委員は住宅・建築物の耐震化を促進するための方策として、「耐震診断は対象建物を設計できる建築士に限定すべき」と主張。日本建築士会連合会の後藤伸一専門委員は建築確認検査の在り方について、「単体規定は民間の確認検査機関に審査を委ね、集団規定は特定行政庁で審査する仕組みに変えていく必要がある」などと提案した。
建築基準制度部会は、建築法制の在り方を探るため、国交省がことし9月に設置した。当面の検討課題として▽木造建築関連基準▽耐震改修促進法など関連規制▽構造計算適合性判定(適判)制度や定期報告制度などの建築確認検査制度―を位置付け、法改正を視野に検討を進めている。今回の会合では、各委員が提出した主要な検討課題に対する意見書を踏まえ、議論を展開した。
各委員の主な意見は次の通り(敬称略)。
▽久保哲夫(東京大学名誉教授)―今後はストック保全を目的とする新たな建築基準の法令体系を検討すべき
▽深尾精一(首都大学東京教授)―建築ストックを活用しやすいよう法体系を見直すべきであり、耐震化促進方策に限って議論するのは不十分
▽河野晴彦(日本建設業連合会設計委員会委員長)―旧耐震建築物の耐震診断・設計は構造1級建築士が関与するシステムとすべき
▽秋山一美(住宅生産団体連合会建築規制合理化委員会委員長)―建築確認審査と構造適合性判定を同一機関で行えるようにして、審査の合理化と申請者の負担軽減を実現すべき
▽芦原太郎(日本建築家協会会長)―耐震改修促進法に基づく耐震改修建築物の認定表示制度を制定すべき
▽砂川俊雄(東京都都市整備局市街地建築部長)―耐震診断・耐震改修に対する国の補助率を拡充するとともに、耐震診断に対する助成対象事業費の限度額を実勢に応じて引き上げるべき
提供:建通新聞社