経済産業省と環境省が設置した合同会議は、今後のフロン類対策の方向性に関する報告書案の大筋を固めた。年明け1月の合同会議で最終決定する。業務用冷凍空調機器の使用時におけるフロン類の漏えいを防止するため、国が管理基準を定めたり、建設リサイクル法の解体届出の際に、フロン類の引き渡し義務や行程管理制度を周知するよう求めた。経産省と環境省は、報告書の内容を踏まえ、次期通常国会にフロン・回収破壊法の改正案を提出する考えだ。
2007年に施行された改正フロン回収・破壊法で、業務用冷凍空調機器からのフロン類の漏えい防止を目的に、行程管理制度の導入などの対策が講じられたが、廃棄時冷媒回収率は依然として3割程度で推移している。加えて、冷凍空調機器の使用中に想定を上回るフロン類が漏えいする使用時漏えいが冷凍空調機器からの全排出量の6割に上る見込みであることも法改正後に分かった。
このため、報告書案では、フロン類の使用時漏えいの防止措置を強化する方針を明記。機器ユーザーの管理水準を引き上げるため、機器を管理する際に順守すべき基準を国が設定することを求めた。基準には▽定期点検の実施▽漏えい発見時の適切な処理▽結果の記録―などの措置を盛り込む。管理基準の実効性を高めるため、一定以上のフロン類を漏えいした事業者に国への報告を求め、事業者名を公表する制度の必要性も指摘した。
また、解体工事の着工前にフロン類の有無を発注者に説明することを解体業者に義務付けた事前説明の規定を、約1割の業者が把握していない現状を問題視。建設リサイクル法の建築物解体の届出時にフロン類の引き渡し義務や行程管理制度を周知するよう要請した。
合わせて、建設リサイクル法に解体工事の元請け業者に対する同様の事前説明義務があることに着目し、国と都道府県のフロン回収・破壊法担当部局と建リ法担当部局が連携し、情報の共有化や監視を効率的に行う体制整備なども求めている。
提供:建通新聞社