厚生労働省は6日、「解体用車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会」に、解体用車両系建機の安全規制に関する報告書案を提示した。労働安全衛生法の規制がなく、関連する労働災害が増加傾向にある「鉄骨切断機」「コンクリート圧砕機」「つかみ機」について、解体用建機の技能講習や構造規格の見直しを求める内容となっている。同省では、報告書の指摘を踏まえて2013年4月にも関係する法令などを見直し、早ければ同年7月にも施行する考えだ。
長期的な建設業の労働災害の減少傾向を反映し、車両系建設機械の労働災害は減少の流れにある。ただ、解体用車両系建機に関係する労働災害は増加傾向にあることに加え、東日本大震災の被災地で解体工事が増加していることから、さらに労働災害が増える懸念もある。
このため、厚労省では既に規制がある解体用車両系建機の「ブレーカ」に、「鉄骨切断機」「コンクリート圧砕機」「つかみ機」を追加し、新たな安全規制を義務付ける方針だ。10月に設置した検討会では、規制対象に加わる解体用建機の使用方法、就業制限(使用方法、技能講習など)、構造規格の見直しなどを議論していた。
報告書案では、規制対象となる解体用建機の使用方法として▽アタッチメントにワイヤロープを掛け、玉掛けして吊る作業の禁止▽建機が旋回する範囲内への立ち入り禁止▽アタッチメント装着時の倒壊防止措置―などを講じるよう求めた。
技能講習制度の見直しでは、現行のブレーカーの就業制限に準じ、新たに規制する3機種のうち、機体重量3d以上の建機を運転する際に講習の修了を義務付ける。新たに技能講習を受ける際には、現在の講習時間に学科で2時間、実技で1時間を追加し、合計38時間とする。
また、3機種の運転経験があるオペレーターに対しても、経過期間を設けた上で再度の技能講習の受講を求める。運転経験が6カ月以上あるオペレーターの実技講習は免除するが、最大7時間の学科講習の受講を義務付ける。
一方、斜面上で作業をしてバランスを崩したことが労働災害につながっていることを踏まえ、建機の構造規格も規定する。解体した物体の飛来を防ぐため、運転室の前面に安全ガラスや防護措置を講じるほか、シートベルトの装着を義務付けて転落を防止する。転倒防止警報装置や本体角度計の設置は、数年後の実現を視野にメーカーに研究開発を促す。
提供:建通新聞社