国土交通省は、国土交通分野の技術開発の方向性を示す技術基本計画を12月上旬にも決定する。重点プロジェクトとして、災害に強いレジリエント(強じん)な国土づくりプロジェクトや、社会資本維持管理・更新プロジェクト、建設生産システム改善プロジェクトなど計7分野を設定。技術研究開発の成果を社会的な課題解決に生かす視点を新たに盛り込んだ。こうした考え方を27日の社会資本整備審議会・交通政策審議会技術部会に示した。
技術基本計画は、国交省が取り組むべき技術研究開発とその推進方策を明示するもの。これまでの計画が技術研究開発に主眼を置き、技術政策を総合的にとらえる視点が欠けていたとの認識を踏まえ、新計画では計画対象を技術政策全般に拡大し、技術研究開発と事業・施策を一体的に推進していく方針を掲げた。計画期間は2013年度から17年度までの5年間となる。
今回から部局横断で取り組む重点プロジェクトとして、新たに@災害に強いレジリエントな国土づくりA社会資本維持管理・更新B安全・安心かつ効率的な交通の実現C海洋フロンティアDグリーンイノベーションE国土・地球観測基盤情報F建設生産システム改善―の計7分野を設定した。
このうち、社会資本の維持・更新プロジェクトでは、社会資本の維持管理・更新費の推計や道路ストックの長寿命化に関する技術開発、構造物のライフサイクルマネジメントのための点検診断手法に関する研究などに取り組んでいく。
また、グリーンイノベーションプロジェクトでは、下水道革新的技術実証事業や洋上風力発電の普及拡大、省エネ基準の運用強化に向けた住宅・建築物の省エネルギー性の評価手法の高度化などを推進。建設生産システム改善プロジェクトでは、ICT技術やロボット技術を活用した情報化施工・無人化施工の普及に加え、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)による建設生産システムのブレイクスルーを目指すとしている。
2012年度中に重点プロジェクトの具体的な内容や目標、実施計画を固めた上で、13年度から重点プロジェクトを実行していく方針だ。
提供:建通新聞社