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2012/11/26

一人親方の実態調査に着手 国交省

 国土交通省は、不透明な重層下請け構造や一人親方の実態を把握するための調査に着手する。総合工事業や専門工事業には、一人親方の活用や処遇の現状、一人親方化のメリット・デメリット、工事での技能労働者の集め方などをヒアリングする。一人親方に対する調査では、全国建設労働組合総連合(全建総連)や専門工事業団体の協力を得ながら、一人親方化の経緯や業務内容、社会保険の加入状況、将来展望などを尋ねる。2012年度中に検討成果をまとめ、技能労働者の就労環境改善に向けた取り組みに活用していく。
 重層下請け構造は、建設生産システムの合理化や、技術・技能の専門分化への対応として生まれた。この中で一人親方は、コスト削減や繁閑の調整弁として活用されているとみられるが、その実態は不透明だ。今後、国が社会保険未加入対策を本格化させると、法定福利費の事業主負担分を回避する狙いから、一人親方の増加を招くとの指摘もある。
 こうした状況を踏まえ国交省は、不適正な一人親方化の防止と技能労働者の就労環境改善に向けた対策を講じる必要があると判断。その第一歩として実態調査に乗り出すことにした。
 重層下請け構造の調査では、土木・躯体・設備・仕上げの4分野から専門工事業団体をそれぞれ2団体程度選び、ヒアリング調査の対象となる企業を推薦してもらう。ヒアリング項目は▽一人親方の活用・処遇に関する変遷・現状認識▽一人親方化のメリット・デメリット▽実際の工事に当たっての技能労働者の集め方―などを想定。大手ゼネコンで現場経験の長い技術者からも、同様の趣旨でヒアリングする。また、土木・建築の各分野から複数の工事を選定し、一人親方を含む雇用と請け負いの全体像を調べることも視野に入れている。
 一人親方への調査は、全建総連の傘下組合員から3000人、専門工事業団体から少なくとも450人程度を抽出し、アンケート票を送付する。主な調査内容は▽一人親方となったきっかけ・動機▽意に沿わない仕事を自分の判断で断ることができる自由の有無▽仕事の紹介元▽仕事の契約方式▽仕事で使う材料や機械・器具の提供者▽建設業での年間所得▽加入している社会保険の内容▽今後希望する働き方とその理由―などとする。
 一連の調査を基に、一人親方の就労形態を類型化した上で、労働者として雇用すべきケースと一人親方として活用可能なケースが判断できる資料を作成。これを建設業に周知し、適正な就労環境の構築につなげていきたい考えだ。

提供:建通新聞社