国土交通省は、登録基幹技能者の評価・活用に向けた実態調査に着手する。発注者、元請け、下請け、有資格者などを対象として、登録基幹技能者の活用状況や配置効果、有資格者の処遇などを調べる。2012年度中に成果をまとめ、登録基幹技能者の処遇改善や最上級の技能労働者としての位置付けの明確化に向けた施策の立案に反映させる方針だ。
登録基幹技能者制度は、専門工事の職種ごとにマネジメント能力に優れた「スーパー職長」を認定する仕組み。有資格者は12年10月現在で3万5193人に上る。経営事項審査で加点評価の対象となっているほか、公共発注者の中には総合評価方式で加点評価しているところもある。
登録基幹技能者をめぐっては、建設産業戦略会議の提言「建設産業の再生と発展のための方策2012」(方策2012)で一層の普及が求められた。これを踏まえ国交省は、ことし9月に設置した「担い手確保・育成検討会」で登録基幹技能者の評価・活用を検討課題の一つに位置付けた。
今回の実態調査は、登録基幹技能者の配置効果などを明確化することで、発注者や元請けにその活用を促すとともに、「担い手確保・育成検討会」での議論に役立てる狙いがある。
元請けに対する調査では、日本建設業連合会に所属し「優良職長手当制度」を導入している11社(戸田建設、大林組、ピーエス三菱、竹中工務店、三井住友建設、清水建設、西松建設、大成建設、鹿島、東急建設、前田建設工業)や、公共工事で登録基幹技能者を配置した実績のある企業に、登録基幹技能者の活用状況や評価、配置効果などをヒアリングする。
国や都道府県といった公共発注者に対しては、入札制度での活用状況や実際に活用された工事での評価方法・項目などを調べる。一部の地方整備局や自治体からのヒアリングも予定している。
有資格者やその所属企業へのアンケート調査は、10月1日時点の登録情報の中から、各職種2割程度の企業を抽出する。調査対象は2576社となる見込みだ。調査内容は▽元請けから受けた評価の内容▽評価を受けた下請けの次数▽資格保持に対する待遇―などを想定している。
調査結果は、国交省から業務委託を受けた建設業振興基金の「登録基幹技能者評価・活用委員会」が集約・分析した上で、建設業界内外への効果的なPR方法などを検討。国交省の「担い手確保・育成検討会」にも報告する。
提供:建通新聞社