政府の復興推進委員会(委員長・五百旗頭真熊本県立大学理事長)は9日、2012年度の年次報告の作成に向け、被災3県や関係府省などからヒアリングを行った。福島県は、技術者不足で市町村発注の除染が国直轄に比べて遅れているなどと課題を報告。宮城県は、復興予算の繰越手続きの弾力的運用、岩手県はCM(コンストラクション・マネジメント)を活用した設計・施工一括方式でCMR(コンストラクション・マネジャー)の法的な位置付けの明確化を求めた。
福島県は、除染の担い手育成・確保に向け、11年度から除染業務講習会を開き、10月までに3482人が受講。12年度からは、業務の品質向上を図るため「現場監督者コース」と「業務管理者コース」も開講した。
ただ、市町村発注の除染では、それでも技術者が不足していることに加え、ノウハウの蓄積もないことから発注自体が困難で、除染が進まない状況が報告されているという。また、住民の理解が進まず、除染で発生する放射性廃棄物の仮置き場も確保されていない状況にある。
一方、宮城県は、資材や人件費の高騰による入札不調の増加で、相当数の事業を来年度に繰り越す必要があると報告。提出書類の削減など、繰越手続きを大幅に簡素化するとともに、繰越手続きをしなくても、事業を継続的に実施できる財政措置の必要性を訴えた。岩手県は、CMRの法的な位置付けがないことを問題視し、発注者からの信頼向上のためのCMRの格付けや評価などの検討を求めた。
提供:建通新聞社