国土交通省は12日、建設産業の役割や重要性を社会に広く知ってもらうため、「建設産業の魅力を発信するための戦略的広報検討会」の初会合を開いた。これまでの建設産業の広報活動を総括した上で、建設産業の魅力を発信し、若者や女性などの入職を促進する効果的な手法の在り方について意見を交わした。戦略的な広報活動を一過性のものとしないための体制整備も視野に入れている。2012年度中に一定の成果をまとめる方針だ。
この検討会は、建設産業戦略会議の提言を具体化するため、ことし9月に設置した「担い手確保・育成検討会」の下部組織という位置付け。産官学が一体となって建設産業の戦略的な広報の在り方を検討することを目的としている。
初会合では、座長に芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授を選任。その上で、事務局側が▽建設業就業者は55歳以上が33%、29歳以下が12%と高齢化が進行している▽建設業関係者と一般市民との間では、建設産業に対するイメージにギャップがある▽東日本大震災の被災地支援に対する建設産業の貢献が一般市民に必ずしも高く評価されていない―といった建設産業の現状を説明した。
意見交換の中では、戦略的広報の展開に向けて、建設産業の役割と魅力を一般に向けて効果的にPRすることや、特に若年入職者を確保するため学生・保護者に向けた広報に取り組むことが必要との認識を共有した。
こうした認識に基づき、12月にも開く次回会合で今後の方向性を議論した上で、12年度中に13年度から重点的に取り組むべき事項を盛り込んだ中間報告を策定する。それ以降も検討を継続していく。
委員は次の通り(敬称略)。
▽五十嵐一男(国立高等専門学校機構理事)▽生亀孝志(日本建設業連合会常務執行役)▽井上花子(日本造園組合連合会理事)▽内山聖(建設産業専門団体連合会副会長)▽緒方英樹(全国建設研修センター広報室長)▽尾野村祐治(経済ジャーナリスト)▽蟹澤宏剛(座長、芝浦工業大学教授)▽小島聡(全国高等学校建築教育連絡協議会事務局)▽永井仁一(建設業振興基金理事)▽野村敬明(全国建設業協会常務理事)▽松田正之(全国専門学校建築教育連絡協議会常任幹事)▽宮嵜清志(日経BP建設局長)▽平原由三枝(オブザーバー、NHKエンタープライズ)
提供:建通新聞社