国土交通省は8日、「社会保険等の加入促進方策検討委員会」(座長・佐藤博樹東京大学大学院教授)を開き、専門工事団体による優良事業者認証制度の方向性を大筋で固めた。自社の社会保険加入に加え、協力会社への保険加入の働き掛け、建設業退職金共済制度への加入、人材育成の状況といった項目を審査・認証する仕組みを想定。認証事業所に対しては、法令順守や人材育成に前向きな事業所であることがひと目で分かるようなマークを付与する。2013年2月に開く次回会合で制度設計を詰める方針だ。
この委員会は、建設業許可・更新時の確認・指導をはじめとした行政による社会保険加入対策に加え、民間での取り組みを促進する方策を検討しようと、ことし8月に設置した。検討項目として▽優良事業者認証制度▽保険加入促進に向けたリーフレット・ポスター▽社会保険労務士と連携した保険加入促進―の在り方などを設定している。
このうち優良事業者認証制度は、専門工事業団体が運用主体となって、各事業者の優良性を社会にアピールするものとする。社会保険は企業単位と個人単位という二つのレベルに分けて審査することも視野に入れている。審査に当たっては、客観性を確保するため学識者らに参加してもらう。認証の対象を会員限定とするか非会員まで広げるかどうかは今後検討していく。また、適切な費用負担の在り方も検討課題となる。
保険加入促進に向けたリーフレットは、発注者・元請け・下請け・労働者という四つの主体を対象にそれぞれ作成する。このうち、発注者向けのリーフレットでは、発注先に対して従業員の社会保険加入を求めることや法定福利費分の事業資金を確保することを訴える。元請けや下請けには、自社の労働者の加入や下請け(再下請けを含む)に指導を徹底する必要性を強調。労働者向けには、保険加入の意義などを説明する内容を想定している。
提供:建通新聞社