国土交通省は、前通常国会への提出を見送った建設業法の改正に向けて、本格的な議論を再開させた。5日に中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会の基本問題小委員会を開き、業種区分や技術者データベースの在り方について、あらためて意見を交換。焦点の一つとなる業種区分の見直しをめぐっては「規制強化または緩和の影響や社会的負担の増加と比較しても、疎漏工事のリスク低減など適切な施工の確保、社会的課題の解決に顕著の効果が見込まれる」ことを新たな前提条件に位置付けた。12月にも次回会合を開き、議論を詰めていく方針だ。
基本問題小委員会は、「建設産業の再生と発展のための方策2011」(方策2011)で打ち出した施策のうち▽業種区分の点検▽技術者データベースの整備▽社会保険未加入問題への対応―といった項目を具体化するため、11年9月に設置された。
ことし1月にまとめた中間報告では、建設業法に28業種が指定されている業種区分について、「本格的な維持管理時代の到来や循環型社会の構築など社会的ニーズに一層対応していく視点が必要」と指摘。こうした認識に基づき「なおす」「とりこわしてつかう」といった行為に関連した業種区分の見直しに言及した。既存の一式工事のうち、一定の分野を施工することができる新たな業種を政省令で措置する仕組み(限定一式)の構築を検討すべきとの認識も示した。
5日の小委員会では、今後の基本的な考え方として「規制強化または緩和の影響や社会的負担の増加と比較しても、疎漏工事のリスク低減など適切な施工の確保、社会的課題の解決に顕著の効果が見込まれる」ことを前提条件に設定。その上で「該当する工事に必要な技術が専門化しており、対応する技術者資格などが設定できる」「現在、ある程度の市場規模があり、今後とも工事量の増加が見込まれる」ことが必要とした。
技術者データベースは、監理技術者資格者証に代わって、建設技術者の適正配置と資質向上を両立する仕組みを想定。中間報告では、建設業法に基づく監理技術者はDB登録者の中から選定するよう義務付けることや、登録に有効期間を設け最新の法令知識の保持を更新要件にすることなどが適切とされた。
今後は▽監理技術者の選任や工事現場への配置が所属企業の責任であることを踏まえた現場配置情報の登録主体▽手数料や登録の手間など技術者の負担を考慮したデータベースの登録項目や機能▽現行の監理技術者資格者証から技術者データベースへの移行に当たっての準備期間・経過措置―などを具体化していく。
提供:建通新聞社