金融庁は1日、2013年3月末の中小企業金融円滑化法の期限切れに伴い、期限到来後の金融機関に対する検査・監督方針に関する中塚一宏金融担当相の談話を発表した。談話では、期限到来後も貸し渋り・貸し剥がしなどの事態が生じないよう、金融庁が金融機関に貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるよう促すと明示。また、金融機関が借り手の経営改善に取り組んでいるか、従来よりも厳しく監視するとした。
09年12月に施行された中小企業金融円滑化法では、中小企業などの借り手から申し込みがあった場合に、金融機関に貸付条件の変更などに応じる努力義務を課したほか、貸付条件変更の実施状況を開示することを義務付けている。
今回の大臣談話では、13年3月末の円滑化法の期限切れに対する金融機関や借り手からの問い合わせに応えるため、期限到来後の検査・監督方針を明確化。借り手の状況をきめ細かく把握して、貸付条件や円滑な資金供給に努める金融機関の役割については「円滑化法の期限到来後においても何ら変わるものではない」と念押しした。
金融機関が貸付条件の変更などに対応する際の目安にも言及。金融検査マニュアルなどで、中小企業向け融資で貸付条件を変更しても不良債権とならない「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合」や、「5年以内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」といった要件は、期限到来後も変わらない恒久措置であるとした。
また、借り手が抱える経営課題の解決には相応の期間が必要だとの見解を示し、円滑化法の期限切れの段階で最終的な解決を求め、貸し剥がしなどの行為に及ぶことを慎むよう要請。合わせて、金融機関がコンサルティング機能を発揮し、借り手の経営課題に応じた最適な解決策を提案することを促している。
金融庁では、金融機関に対してこうした検査・監督方針を営業の第一線まで周知するとともに、顧客への対応方針が変わらないことを借り手に説明するよう求める。
提供:建通新聞社