厚生労働省は、解体用建設機械の新たな安全規制に関連し、規制の対象となる「鉄骨切断機」など3機種を現在運転している重機オペレーターに、再度の技能講習修了を義務付ける方針だ。厚労省は2013年度早期に安全規制を盛り込んだ改正政省令を施行した後、1年半から2年程度の経過期間を設け、その間に規制対象の3機種(3d以上)を6カ月以上運転するオペレーターらに最長7時間の学科講習の修了を求める。運転期間が6カ月未満の場合には、実技講習の受講も義務付ける。
現行の労働安全衛生法で規制されている解体用建機は「ブレーカ」のみで、急速に普及が進んだ「鉄骨切断機」「コンクリート圧砕機」「つかみ機」は規制がないまま。東日本大震災の復旧工事などで、規制のない3機種による労働災害が増加したことを受け、厚労省は「解体車両系建設機械の新たな安全対策に係る検討会」(座長・建山和由立命館大学教授)を設置し、3機種の使用方法・就業制限・構造規格などの安全規制に関する検討を始めたところだ。
この中で、新たに規制を加える3機種については、3d以上の機械を運転する際に、技能講習を修了しなければ使用できなくなる就業制限を設ける。新たに技能講習を受ける際の講習時間は、現行の「ブレーカ」に3機種を加えた4機種の講習を受けることになるため、学科に2時間を追加して13時間、実技に1時間を追加して25時間の合計38時間となる。
さらに、3機種の運転経験があるオペレーターに対しても、経過期間を設け、再度、技能講習の受講を義務付ける。運転経験が6カ月以上の場合は実技講習を免除し@整地・運搬・積込用及び掘削用建機の技能講習修了者3時間A同未修了者7時間B解体用建機の技能講習修了者2時間―の学科講習の受講を求める見込みだ。
また、解体用建機の技能講習を修了し、運転期間が6カ月未満の場合には、学科講習2時間・実技講習1時間の合計3時間の受講が必要になる。運転期間の判断は事業主の自主申告に任せる方向で調整している。
解体用建機の技能講習は、都道府県労働局に登録した教習機関が行っており、全国に約150カ所ある。技能講習の受講者は年間1万人程度いるが、11年度は震災の復旧工事などの影響で約1万4000人に増加していた。
提供:建通新聞社