国土交通省の「安全を持続的に確保するための今後の河川管理のあり方検討小委員会」は29日の会合で、河川管理の維持管理基準を河川法令で制度的に位置付けるべきとする提言(中間取りまとめ)の骨子をまとめた。都道府県を含め全国の河川管理の実態が集約される仕組みを構築することや、災害時の応急復旧に対応可能な建設業者を確保するために入札契約方式を改善することなども必要とした。
河川管理をめぐっては、高度成長期に整備された多数の水門・樋門、排水機場などの構造物の老朽化といった課題に加え、循環型社会の形成、健全な水循環系の構築、良好な河川環境の整備といった新たな社会的要請がある。こうした課題の解消に向けて国交省は、ことし8月に小委員会を設けた。
今回の会合では、維持管理の実務で推進・強化するための取り組みを中心とした提言(中間取りまとめ)の骨子を議論。流域・地域が一体となった河川管理手法などは引き続き検討を進め、最終取りまとめに反映させる方針だ。
中間取りまとめの骨子によると、河川の規模や施設の重要度に応じた維持管理水準の確保に向けた取り組みとして、計画的な管理を法令で制度化することに加え、国や都道府県などの現場技術者が活用できるような技術基準・マニュアルの整備が必要と指摘。高齢化する河川構造物を戦略的に管理するため、状態監視型保全を中心とした長寿命化対策の確実な推進や、長寿命化に役立つ技術開発も重要とした。
さらに、河川管理は地域建設業者のノウハウや知見などによって支えられてきた経緯があることから、こうした建設業者を確保していくために、発注手法や入札契約制度をさらに改善していくよう求めた。
提供:建通新聞社