建設業の社会保険加入促進を目的とした建設業の改正施行規則が、11月1日から施行となる。建設業許可・更新時に保険加入状況を記載した書面の添付を義務付けるとともに、施工体制台帳や再下請通知書に保険加入状況の記載を求める。これに合わせて国・都道府県の建設業担当部局は保険加入の有無を確認し、未加入企業に対しては加入指導を徹底していく。複数回の指導にもかかわらず、加入しない場合は保険担当部局に通報。最終的に建設業法に基づき営業停止処分が課される可能性もある。
建設産業の社会保険未加入対策は、技能労働者の適正な雇用環境と企業の健全な競争環境を確保することが狙い。既に本年7月から経営事項審査で未加入企業に対するペナルティーを強化している。
11月1日施行の改正施行規則では、建設業許可・更新時に保険加入状況を確認・指導できるよう、申請書の添付書類として保険加入状況を記載した書面の提出を求める。特定建設業者(元請け)が作成する施工体制台帳の記載事項や、下請けが元請けに対し再下請け時に通知すべき事項にも、保険加入状況を加える。
建設業担当部局はこれらの書類によって、企業単位で保険加入の有無を確認し、未加入企業には加入指導を徹底する。11月以降に申請があった経営事項審査で保険未加入が判明した場合も指導対象とする方針だ。
未加入企業が建設業担当部局の指導に従わない場合には、社会保険担当部局に通報する。保険担当部局による立入検査を正当な理由がなく複数回拒否するなど、再三の加入指導に従わないことを、社会保険担当部局からの通知で確認できた場合には、是正を指示する指示処分の対象とする。指示処分にも従わない場合は監督処分の対象とする。
建設業者の監督処分基準は9月に見直しており、それによると▽社会保険未加入などで健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法に違反した役員や支店長、営業所長などが懲役刑に処せられた場合は7日以上の営業停止▽役職員が懲役刑以外の刑に処せられた場合などは3日以上の営業停止―となった。
こうした取り組みを通じて、国交省は5年後をめどに企業単位(建設業許可業者)の保険加入率を100%、個人単位の保険加入率を製造業並みまで引き上げることを目指している。
提供:建通新聞社