復旧・復興事業に関係する国や自治体、建設業団体で構成する「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」は23日に会合を開き、復旧・復興事業を円滑化するための手法について意見を交わした。被災地を代表して福島県土木部の松本英夫次長はこれまでに国が講じた対策に感謝の念を示しつつ、「被災地の状況は刻々と変化している」と強調し、技術者専任を必要とする建設工事の要件緩和や、仮設宿舎整備費用の工事費への計上など一層の対策を要望した。
23日の会合では、国土交通省が復旧・復興事業の入札不調発生状況を説明。例えば、宮城県が9月に発注した土木一式工事の入札不調発生割合は30%、仙台市では45%と高止まりし、8月以降は3億円以上の大型工事でもその割合が増加。技術者・技能者や生コンなど一部資材の不足も長期化しているという。
意見交換の中で、宮城県建設業協会の千葉嘉春専務理事は復興JVの活用が進んでいない点について、「資機材や労働力、宿舎の不足を懸念して、被災地以外の建設業者が(復興JVでの受注を)怖がっている部分があるのではないか」との見方を提示。また、福島建設業協会の高木明義専務理事は「工事受注の見通しが明確でない中、復興JVを組んですぐに受注できなければ、相手方に迷惑が掛かってしまう。制度自体は立派だが現実味を帯びていない」と厳しく指摘した。
建設産業専門団体連合会の道用光春専務理事は、被災地での技能者不足に対し「被災地以外の技能者が被災地に応援に行きたいと思っていても、そのための体制が整っていない。発注の見通しを明らかにして、先が見通せるようにしてほしい」と要望した。
連絡協議会は、被災地で建設技術者・技能者不足や労務賃金の実態との乖離(かいり)を原因として、入札不調が激増している問題に対処するため、2011年12月に設置された。
被災3県・仙台市の主な共通要望は次の通り。
▽土木一式で技術者専任が必要となる請負金額を2500万円以上から1億円以上に引き上げる▽公共工事労務費調査の対象を公共工事以外の工事まで拡大する▽インフレスライド、単品スライドを活用する際の算定事務を簡素化する▽仮設宿舎整備に要する費用を工事費に計上する仕組みを設ける▽仮設宿舎の建設・運営・解体に要する費用を支援する補助制度を設ける
提供:建通新聞社