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2012/10/23

港湾施設の更新 コスト縮減・平準化へ有識者会議

 国土交通省は、港湾施設の更新費の縮減・平準化を議論する「港湾施設の維持管理等に関する検討会」(座長・黒田勝彦神戸大学名誉教授)を立ち上げ、22日に初会合を開いた。高度経済成長期に整備された港湾施設の更新期が集中することで、基幹的な港湾施設である係留施設などでは、建設後50年を超える施設が20年後に50%を超える見通し。こうした現状を踏まえ、検討会は、維持・改良の選択と集中、技術開発の在り方などを話し合い、2013年1月に最終報告をまとめる。
 検討会の議論の対象となる施設は、水域施設、外郭施設、係留施設、臨港交通施設などの港湾施設で、国・港湾管理者が所有する施設数は合計4万4088施設(5月時点)に上る。各施設の供用後の年数は国所有施設が平均30・6年、港湾管理者所有施設が30・4年で、高度経済成長期に集中的に整備された施設の老朽化が進展し、更新期が集中して訪れようとしている。係留施設では、供用後50年を過ぎた施設の割合が10年の5%から、20年に約25%、30年に50%まで増加する見通しだという。
 このため検討会では、維持・改良費を縮減したり、平準化した今後の維持管理の在り方を議論。具体的には▽港湾施設の今後の維持・管理費の推計方法▽老朽度に応じた維持・改良手法の導入▽維持・管理費縮減に貢献する技術開発の在り方―などについて、有識者を交えて検討する。
 国交省港湾局の大脇崇技術企画課長は初会合の冒頭で、「社会資本全体と同様に、港湾施設の老朽化も急速に進んでいる。維持・改良費の縮減と平準化は不可欠な状況だ」と発言。黒田座長は「国の財政状況が厳しい中で、現在の港湾施設の物理的寿命を把握し、効率的な管理戦略を報告したい」とあいさつした。
 13年1月にまとめる提言の内容は、ことし8月に社会資本整備審議会・交通政策審議会の技術部会の下に設置された「社会資本メンテナンス戦略小委員会」にも報告し、同委員会の最終報告に反映させる。

提供:建通新聞社